庭木剪定の時期はいつが良いでしょうか?

お施主様の所で手入れさせていただくと、いつ頃剪定するのが良いですか?という質問を良くいただきます。

庭木には色々な樹種があり、花が咲くタイミングも違えば、気候や日当たり、土質等の環境も違います。樹種によって環境によって剪定の時期は変わってきます。ですので、どの時期が良いということは一言では言えません。

 

そのことを踏まえここでは庭木の剪定時期についてご説明をさせていただきます。

 

〇そもそも剪定とは何か? 

 

樹木が伸び伸びと成長する為に手をかけてやることです。

込んでいる枝、ぶつかり合っている枝を取り除きます。

伸びすぎている枝は取り除き、その部分から新たな枝をふかしその枝を大事に育ててやります。樹木が樹木らしく元気に育つ様に手助けさせてやることを剪定と言います。

只、残念ながら、諸事情で短く剪定しないといけない事や、木の特徴が分からず、間違えた時期に剪定してしまい、枯らしてしまった樹木等を見られことも多くあります。

こちらのコラムを読んでいただき、出来るだけそういった事が起こらないように少しでも手助けになれば嬉しく思います。

 

 

 

〇何故、剪定は必要なのでしょうか?

 

・伸びすぎた枝を剪定する

樹木は放っておくと伸びていくもので、ご自宅に植栽している庭木であれば放っておくと、枝が伸びて道が塞がれたり、フェンスを突き破ったり、隣の家に枝が入ってしまったりと、生活に支障が出てきます。人に迷惑をかけたり、人がストレスを感じながら樹木を抱えることは本末転倒です。樹木があることで心が穏やかになり心地よさを感じなければいけません。人と樹木が共存する為に最低限、必要な剪定作業です。

 

 

・光合成をさせる為の剪定

 木は放っておくと、上の方、先の方ばかり伸びてしまい、中の枝、下枝が枯れてしまいます。日が当たる箇所は良く伸び、当たらない箇所は弱り枯れてしまうことになります。

そこで必要になってくるのが剪定です。まず樹木の上の方から下に向かって透かしていきます。ぶつかり合っている枝、込んでいる枝を取り除くことで上から下まで日が当たる様にします。樹木全体に日が当たり光合成が出来るようになれば上から下まで全体的に樹木は元気に育つようになります。

また花が咲く樹木であれば花付きも良くなり、花が咲くようになれば実も良く付くようになります。

剪定をすることで樹木に大切な光合成の手助けをすることが出来ます。

 

 

・樹木を成長させる為の剪定 

 

樹木を成長させるという事は単に、サイズを大きくするという意味だけではありません。

 

例えば、毎年手入れをしている樹木と、5年に一度手入れをしている樹木では枝の吹き方、が違います。

一枝をハサミで剪定するとします。一枝剪定することでその切口から、またはその周辺から4つ5つまたはそれ以上の枝が吹いてくることもあります。

それを毎年繰り返している樹木であれば樹幹が一定に保たれ、枝を多く作る事が出来て、茂った中にもコンパクトで庭に収まった自然な雰囲気を持った樹木を作ることが出来ます。

一方、5年に一度の樹木であれば上記で説明した様な上の方や先の方だけが伸びて中の枝が枯れ、下枝は弱り枯れてしまっている状態です。

その状態で庭に収まる様に剪定をするとなると、大きく縮める必要があります。

大きく縮めると、中の方や下枝が枯れている状態なので、残ってくるのは太い幹や枯れた枝になります。これでは、庭木として、自然な樹木に見る事が出来なくなります。葉を残して自然に見せようと剪定すると、今度は大きく育った樹幹になり年々大きくなり、庭に収まらなくなってきます。

 

〇剪定の頻度は? 剪定の回数は?

毎年、剪定をされる所もあれば、数年経って剪定される所もあります。

また少し伸びた時に直ぐに剪定をされることもあります。

頻繁に剪定すればそれだけ芽は細かく吹き、枝数は多くなりその逆に剪定回数が少なくなればそれだけ枝数は少なくなります。樹木によりどの様に育てたいかということで剪定の頻度を決めても良いでしょう。

お庭全体の剪定、お手入れに関してはプロに頼まれるなら年に1回から2回ということが多くなっています。年間でいつでも庭を綺麗にしておきたいという事であれば計画立てて月毎に手入れや剪定をすることもあります。

 

 

〇剪定の時期はいつが良いのか? 剪定の時期は何故、樹木によって変えるのか?

 

・常緑樹 落葉樹 針葉樹 によって剪定に適した時期は変わってきます。

※強剪定とは、太い枝を短く剪定したり多くの枝を剪定することをいいます。

毎年手入れをしているのであれば成長し過ぎていることもないので、※強剪定する必要はありませんので、基本的に1年を通していつでも剪定は可能です。

その逆で強剪定する場合は時期をみて剪定をしないと枯れるリスクが高くなります。

 

・常緑樹の剪定時期

常緑樹は寒さに弱い樹木なので暖かくなってきた3月~5月に剪定をすると良いでしょうこの時期は強剪定をしても枯れるリスクは低くなります。

環境によっては強剪定をするとこの時期でも大きく切ることで木に負担は掛かってくるので枯れる可能性はあります。一番、リスクが高くなるのは夏の暑い時期です。その次に真冬の寒い時期もリスクがあります。もちろん枯れないまでも弱ることもあるでしょう。

 

主な常緑樹には キンモクセイ アラカシ シラカシ シマトネリコ オリーブ ヤマモモ 等があります。

 

・落葉樹の剪定時期

 

 落葉樹は樹木が休眠している12月~3月が適しています。

葉もない時期なので枝が見易くゴミの量も少なくなり作業がやり易くなります。

萌芽の早いウメやカエデ等は12月末までに剪定した方が良く、

寒さに弱いサルスベリやザクロ等は暖かくなった3月後半以降に剪定すると良いでしょう

 

主な落葉樹には ハナミズキ アオダモ モクレン モミジ ウメ サクラ サルスベリ ザクロ 等があります。

 

 

・針葉樹の剪定時期

 針葉樹を強剪定するのでれば暖かくなってきた3月~5月が適しています。

針葉樹の中には松や、コニファーが代表的なものがあります。

 

強剪定の場合はどちらもこの時期が適しています。

毎年、松のお手入れをする場合は、芽摘みと、もみあげと、いった作業があります。芽摘みは5月の前半から中旬辺り、もみあげは9月~3月までの間に剪定するのが良いでしょう。

 

主な針葉樹には クロマツ アカマツ イヌマキ カイヅカイブキ ヒマラヤスギ イトヒバ 等があります。

 

 

・花を咲かせる剪定

 

樹木の種類により花が咲く時期、花芽をつける時期、は異なります。

花を見たいのであれば、それが分かった上で剪定時期を考えないといけません。

 

花芽分化と剪定時期

芽が出来てから発達の途中である一定の時期になると花をつける花芽と葉をつける葉芽とに分かれ、全く違った内部構造を持つ様になります。これを花芽の分化といい花芽分化の時期は樹種によって異なります。またこの時期の栄養状態や気象条件が花芽の形成に微妙な影響を及ぼします。

 花木の剪定は花芽と葉芽の見分けが出来る様になってから行なうのが花芽を残して剪定がやり易いでしょう。

 

花木の開花修正

花芽は一般にふっくらとして丸味があり葉芽はほっそりとして見分けが出来ますが、見分けにくいものもあります。またツツジやサツキ、ツバキの様に頂芽に花を付けるものやウメやモモなどの様に頂芽は葉芽で側芽に花を持つものなど種類によって花の咲き方が違うので剪定をするには花芽分化樹と開花修正の両方を心得ておく必要があります。

 

開花には3つのパターンがあります。

今年伸びた枝に花芽をつけて今年中に開花するもの

暖地性の花木で春に萌芽伸長した枝に花芽をつけて次々に花を咲かせるもので開花期が長く夏から秋に開花するものが多い。

サルスベリ キョウチクトウ ムクゲ 等がある。

 

今年伸びた枝に花芽を付け冬を越して翌年の春、萌芽前後に開花するもの

春の開花後に新芽が伸びその枝に夏ごろまでに花芽を付けるものが多く花芽が冬の低温にあうことが開花の条件になるので低温開花型という。このタイプは羽芽分化後に台風で落葉したり、初冬の候に暖かい天気がつづくと返り咲きをする性質があります。

 

頂芽に開花する主な樹木は モクレン ツツジ シャクナゲ クチナシ ハナミズキ

側芽に開花する主な樹木 サクラ ウメ 桃 ハナズオウ

頂芽と側芽に開花する主な樹木 ザクロ ドウダンツツジ レンギョウ

 

春に伸びた枝に花芽をつけ冬を越して翌年の春に新しい枝を伸ばして開花するもの。

花芽は混合芽で大きく、アジサイ タニウツギ ボタン バラ などがあります。

 

樹木の分化樹 花芽の位置 開花期を十分に理解する必要があります。

 

主な樹木の 分化期 花芽の位置 開花期

 

樹種

分化期

花芽の位置 

開花期

ウメ

7月上旬から8月中旬

側芽

1月中旬から3月中旬

コデマリ

9月上旬から10月下旬

側芽

4月下旬から5月上旬

サクラ

6月下旬から8月上旬

側芽

3月下旬から4月下旬

サザンカ 

6月中旬から6月下旬

頂芽

11月上旬から1月中旬

ツツジ

6月中旬から8月下旬

頂芽

4月上旬から6月中旬

ジンチョウゲ

7月上旬

頂芽

3月中旬から4月下旬

ツバキ

6月下旬から7月上旬

頂芽

11月中旬から4月下旬

ボケ

8月下旬から9月上旬

側芽

3月下旬から4月下旬

キンモクセイ

5月中旬から6月中旬

側芽

9月下旬から10月下旬

ユキヤナギ

9月上旬から10月上旬

側芽

3月下旬から4月中旬

 

上記の様に、花芽を付ける位置は樹種によって違うので剪定のときはこういった特性を

理解して花芽を出来るだけ残して剪定するか時期を考えて剪定する必要があります。

 

ご参考までに、お施主様で一番剪定のご依頼が多いのは9月から12月年末です。樹木の生長は10月~3月くらいまでは止まりますのでこの時期に剪定をすると暫く綺麗な状態が保てます。

次に6月から8月のご依頼が多くなります。一番樹木が成長する時期に頼まれる方も多くおられます。こちらもご参考にして下さい。

 

〇剪定はどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

樹木のサイズ、枝の数、毎年手入れをしているか、樹種、脚立は立てやすいか、樹種等により剪定の時間は変わります。またプロが剪定するのか、剪定の経験が無い方が作業をするのかによっても変わります。

          

このカシの木をプロが剪定した場合約30分の時間かかっております。

 

                                       

この松の木をプロが剪定した場合約15時間掛かっております。

木の種類、剪定方法で時間が大きく違うことが分かっていただけたかと思います。

〇庭木の剪定時期はプロに相談しましょう

 庭木の剪定時期は樹種により花期により、またどれくらいのサイズに剪定するかにより変わってくる事を説明させていただきました。

ここまでの情報を元に時期を見定めて剪定をしてみて下さい。

 

こちらに載せている情報以外でも多くの樹種があります。もしも剪定時期が分からない場合は一度、プロに相談してみましょう。

プロであれば、花が咲いていなくても、花芽がなくても、どの時期でも花を咲かせるような剪定が可能です。

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